夜の木
- 2017.10.20 Friday
- 21:06
夫と松本に行く用事があったので、前日に松本近くの温泉に泊まることにした。
私の仕事があった為に、その日のうちに松本まで行くことが不可能だったため、手前の諏訪湖周辺の温泉宿に決めたのだった。
どこがいいかしら、と探しているうちに、以前気になってブックマークしていた温泉にたどり着いた。
そう、ブックマークしておきながらすっかり忘れていたのだ。
その温泉は神の湯という名前で。
随分ストレートな名前だなぁ。
折れ曲がる坂道を登ってゆくと、現れる。
緑に囲まれて、ここ好きだな。
お部屋の名前は、きっと弁天。
そう思っていたら、やっぱりそうだった。
宿の中が、とても落ち着ける。
心地よく静かで、あちらこちらでゆったりと休めるように工夫されている。
小さくジャズも流れていて、その音量もとても心地よい。
温泉はとても気持ちよかった。
暖かい泉の傍らに、冷たい泉もあって。
最初に冷たい泉で身を清めるのが良い、とのことですが、それはそれは冷たくて。
温泉で身体を温めてから、そっと冷泉に足をそろそろ入れてみる。
最初はきゅっと冷たいのだけれど、だんだん慣れてきて身体をすっぽり沈めてみる。
冷たい泉がちょろちょろと注がれていて、それを掌に受けて飲んでみる。
酸っぱい味。
冷泉に身を沈めていると、自分の身体と冷泉の境界線が無くなっていって。
意識もふわっと、まるで瞑想しているようだ。
冷たく感じてしまう前に立ち上がり、温泉で暖める。
それを3回ほど繰り返す。
宿のあちらこちらに神様が奉られていて、どなたもいきていらっしゃるかのよう。
畏れ多くて、カメラは向けられなかったわ。
とても静かで。
とても居心地が良かった。
この居心地の良さは、バリ島の温泉バンジャールに滞在したときと似ている。
小さな宿だけれど、あちらこちらにくつろげるスペースがあって。
どこにいても、居心地が良かった。
翌日、近くの諏訪大社春宮に行ってみた。
川のせせらぎが聞こえていて、ここは素晴らしいね。
浮島社。人口の池に浮かんでいるのではなく、春宮のすぐ隣を流れている本物の川の中州にあるのです。
その場所にいるだけで、清められるような、そんな場所。
そして春宮の反対側へと橋を渡ると、万治の石仏があると看板が出ている。
失礼ながらお名前にはあまり惹かれなかったのですが、足を運んでみました。
日差しが強くて、陰で険しくお顔のようにも見えますが、とてもとてもやさしいまなざしでした。
そして、どうもお顔もお姿も、南米、という言葉が浮かんでしまう。
とても暖かい雰囲気の仏様です。
秋宮にも足を運んでみました。
神様はこの時期はこちらにいらっしゃるということでしたが、私は春宮の方が感じられたなぁ。
松本に行き、知人に教えてもらったお店の二つのお店のうち、こっちかな?と入ってみたカフェ。
コーヒーは美味しいのだけれど、夫の好みではなかったかな。
私も、もう少しゆったりとした椅子に座りたかったかも。
そう思っていると、2階にギャラリーがあるのでよろしかったらご覧になってください、とお店の若い人が教えてくれる。
それならと思って2階への階段に向かう途中に、思いがけない絵本を見つける。
それはなかなか手に入らない、インドの出版社が刊行している貴重な絵本だった。
思わず手に取ると、お店の人が、そんな風に手にとってもらえるととても嬉しいです、と声をかけてくれる。
熱く語る若者。
ずっと探していたのよ。
まさか、ここで出会えるとは。
本を胸に抱きかかえて、次は夫の行きたかったお店に入ってみる。
さっきのカフェの、すぐ近く。
ここでも熱く語る人が。
その後、松本フェスティバルに行き美しい音を堪能して。
幕間には、小澤氏からということで地元のワインが惜しげもなく振舞われていました。
ほろ酔いできくオーケストラの素晴らしかったこと。
ほんの一泊の旅だったけれど、とてもとても、何一つ外さなかった旅でした。
こういうときに、ケビン・ライアーソンに教えてもらった言葉が脳裏によみがえる。
何から何までぴったりと、トントン拍子にいいことが起こるとき。
それが本当なんです。
もし、何か上手くいかない、気持ちがしずんでしまうような時。
その上手くいったときのことを思い出して。
その時のエネルギーを、思い出して。
- 旅
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